2015年6月25日木曜日

裏山の水辺でクリンソウに出会う

その日に出会った花も、奇天烈だった。




扉温泉から鉢伏山というところまで、沢筋の小径が付けられてる。僕はミスト感一杯の森の空気につつまれて、この小径を歩いていた。平成27年5月31日のことだ。



沢沿いのトレイルはとても歩きやすく、せせらぎ、鳥の声、時おり梢を鳴らす風の音で満たされていた。


ああ、癒されるようだ。

森の上には荒々しいガスが巻いており、妖気漂う陰鬱な谷底には怪しげな羊歯(しだ)が繁茂し、しかも地面にはニホンジカの無惨な屍やら白骨やらをいくつも数えたけれど、僕自身はしあわせだった。




いつまでも消えそうにない頭上のガスに、数百回目の呪いを吐き捨てた頃、傍らに奇妙なものを見た。


なんなのだこのありえないぞうけいのさいくぶつは......





それは、何かの間違いで造形されたオブジェと云うか前衛的な作品と云うか、僕の理解と認識を越えた異世界の地平の彼方に咲く花だった。いや、宇宙の反対側の惑星の地下帝国の果てに、ひっそりと咲いているような花だった。ありえないよこんなの。




この花に出会う前の僕は、ごく普通に里山歩きを愉しんでいた。あのニホンジカたちとは違う境遇にあるし、マイナスイオン浴びてるし、とにかく普通にしあわせだったのだ。



ほらしあわせでしょ?




こんなみずみずしいみどりの中を漂って。





これはふつうに美しい。ベニウツギと云うのだと、某所でお世話になっている安曇野出身のkanosukeさんがご親切に教えてくれた。






でもこの姿には、ヤられた。なんだか混乱してしまう。




やはり尋常じゃない。




神さま何か間違ってます的な困惑を抱いて、僕は小径を登り続けた。

この花は、クリンソウだとkanosukeさん情報。どうもありがとうございました。











沢筋から尾根へ。落葉松に笹という、美ヶ原付近ではあたりまえの風景。




このガスにはもう二千回の呪いを浴びせてやった。




前鉢伏山山頂。




鉢伏山山頂。




穂高は見えず。かといってここで臆してセレモニーを怠るような男ではない。きちんと、決まり通りに大福をむしゃむしゃ。













扉温泉に降りる途中で、晴れてきやがった。あの奇妙な花のせいだ。










2 件のコメント:

  1. このブログに自分の名前が!!
    うれしいやら、恥ずかしいやら、照れくさいやら、申し訳ないやら、一言で云うと、舞い上がってます。
    ただ、クリンソウはまだ見たことがないし、花にやたらめったら詳しいヤマ友からの受け売りなんですけどね^^;

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  2. kanosukeさん!
    書き込みいただきまして恐縮であります。
    こちらでも引き続きよろしくお願いいたします。

    いやあ、この花に会ってからしばらく、調べたんですよ。
    花の図鑑みたいなサイトで「赤い花」カテゴリとか。
    なかなか判別しなくてモヤモヤしてる時に、あーざした!
    で、ぐぐったら人気のある花なんですなあ、こいつ。
    全国各地で見られるとは、ついぞ知りませんでした。
    てか、おいら、山の花ってコマクサとチングルマしか
    知らなかったんですよ、わりかしまじで。
    またお願いいたします。

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