2016年9月18日日曜日

僕の食欲がそろそろ....


逝ってしまった夏を惜しみながら、いつの間にか実りの秋への期待で鼻孔を膨らませている。やれ秋刀魚の初物だ新米だそろそろ松茸採りにいかなきゃ、と舌と胃袋が先走る。それより秋の穂高バリはどうするとカレンダーを眺めれば、テントを担いで出かけられる日が全くない事を突きつけられる。

そう、年内はテント泊は無理だ。もしかすると、運が良ければ、暮れに北アの片隅で雪まみれになれるかもしれない、そう自分に言い聞かせて秋の穂高を諦める。ここのところバリルートや春山で組んでいるJにも申し訳ない。J、許せ。





日曜日しか休みが無い。その一日をせめて心楽しく過ごそうと、近所の浅間温泉で湯浴みすることにした。





この券売機が、凄い。発券時のサウンドが、まるで未来のレールガン発射装置の装填音なのだ。ゲームやアニメ、映像の音響なんかをやってる人が聴いたらむちゃくちゃ興奮するだろう。これを聴くだけのために、信州松本浅間温泉会館を訪なう価値がある。





館内は松本民芸家具なんかの落ち着いた調度。このとき僕は、風呂上がりだというのに脂汗を浮かべていた。

背中をごしごし擦る動作で肩から腕にかけての筋を痛めたようだ。なんと、身体をほぐそうと湯浴みに来て筋を痛めて帰る、まるで喜劇である。





裏の蕎麦畑の花が満開である。新蕎麦の季節も近いのだ。傷めた肩をさすりながら、まるで敗北して人生の舞台から消え去ろうとするような風情で、僕は家路についた。といってもチャリで20分。そしてまた多忙で退屈な一週間が過ぎてゆく。





今朝。空腹で目覚めて飯を炊き、肉を焼く。

ああ、この季節が巡ってきたのだ。とにかく腹が減って、飯が美味くてしょうがない。酒よりも飯が捗る不可思議な季節。毎年のようにこんなこと書くが、がつがつ、食欲が前に出て来るのだ。

なので、最近の酒の肴やおかずの写真を貼って、おしまい。


家族のための夕食。大豆小豆の大好物で、ニンニクとオリーブオイルでソテーした鶏もも肉のブロックをトマトソースで煮込んだもの。パスタや温野菜を添えて食する。





新秋刀魚を入手して三枚におろし、塩と梅酢で締めて味わう僕のつまみ。





或る夜、松本市内の島内というところでぶらりと入った酒場にて。鰯の刺身を頼んだら、骨を揚げて添えてきた。僕はこういうのに弱い。





自宅でサバ缶をマヨネーズで食する。赤いのは前の項で書いた赤い奴。始めてクックパッドにレシピを載せたらいろんなメールが来て笑えた。





天ぷらとか自分で揚げますからほら。夏野菜アゲアゲー





朝ご飯はこんな感じですよ。え? 黄色いスライムみたいなの?

マヨネーズに決まってるじゃないですか。





八月に大豆や小豆と名古屋に出かけて、大豆が頼んだ蕎麦。

彼は絶句してましたね。

ええ、なぜならばつゆに八丁味噌のようなものが溶かしてあった訳で。だからお前、信州を出たら蕎麦を頼んではいけないとあれほど....









2016年9月10日土曜日

美味炸裂する赤い奴を仕込む


その調味料に、まだ名前は無い。

我が家では「赤い奴」と呼ばれ、僕によって中毒者となった人々からは「あ、あの... あれ...」と称されている、純和風の唐辛子発酵調味料である。

冒頭に掲げた写真は、ある日の僕の晩飯である。焼き肉に添えられた赤いペースト。種のようなものが混じっている。過去にもご紹介したように、乾燥させない赤唐辛子、青唐辛子を醤油麹に漬けておき、ペーストにしたものだ。





冷や奴にも載せて味わう。この豆腐、信州松本・原という女鳥羽川流れる田園地帯に工房を構える、合名会社 富成伍郎商店という豆腐屋のお豆腐である。富成のお豆腐というのは、昨年、日本一美味い! という評価が下されたお豆腐である。拙宅のご近所でもある。日の本一と讃えられるお豆腐に、唐辛子を載せる? 例のグルメ漫画の展開であれば、「ふん、これほどまでに繊細な味わいを、唐辛子で食するとは、田舎者め。片腹痛いわ」となって、その倅が「ならば本当に美味い唐辛子調味料というものを教えてやる!」となる。

漫画と違うのは、ここで活躍するのは「岡星」のあるじではなく「偏執手帳」のあるじである。本当に美味いものは、ここにあるのである。


秋の兆しとともに庭で収穫される、あるいは市場に出回る唐辛子系の作物を、僕はひたすら集め、探し求めるのである。



これは長さ5-7センチぐらいの品種。とにかく辛い。タカノツメに匹敵する。





醤油麹にしばらく漬け込んでおく。

この漬け汁、実はきわめて貴重な漬け汁である。麹が醸した多彩で多様なうまみ成分が溶け合い、そこに辛みを忍ばせている。破壊力は凄まじく、刺身、納豆、おしたし、その他すべての醤油活用場面に大活躍である。たとえばぬくいご飯にこの醤油を垂らすだけで、もうたまらん。新米の収穫を迎えたこの時期にこんな事を書けば、再来年からはコメの作付け面積を増やすぐらいでは済まなくなる。





数日漬け込んだ唐辛子を、袋に移しておく。明日あたり、フードプロセッサーに掛けよう。





今年から新しい挑戦も。北信濃や越後の山際で栽培されている「ぼたんこしょう」と呼ばれる品種。肉厚の皮は甘いが、種と白い果肉が凄まじく辛い。青い皮、赤く熟した皮、そして種と果肉の三つに分けて拵えてみよう。





そしてもちろん、王者タカノツメ。乾燥前の完熟品を漬け込んでやれ。





むはははっはははは。
麹たちよ、唐辛子なら好きなだけ蹂躙するが良い。



僕によって中毒にさせられた被害者たち、という書き方をした。筆頭は家人で、僕が隠している赤い奴を盗もうとして、しばしば叱責を受けている。職場の或る人は、これを定期的に受け取るために、困難な職業上のミッションを受け入れている。ご近所の複数人は、旅行や出張の折の(やや過剰な)土産物を忘れない。本当に美味なるものは、僕をしあわせにするのである。







2016年9月4日日曜日

いなり飯の日々


いなり寿司を、久々に食した。
お、こんなにも美味いものであったか。ふむ、味醂を利かせるのが肝か。その分、あぶらげの味付けがいささか甘すぎるが、これは炊き方で変わるだろう。酷暑で昼の白飯が喉を通り辛くもあったので、手仕事でおいなりの油揚を炊いてみることにした。





砂糖は加えず、味醂は抑え、醤油ではなく麺つゆで炊いた。




大鍋にたっぷり。これを、冷めてから密閉袋に小分けする。3枚、5枚と別けておくことにした。朝つくる弁当の準備が楽になるからである。





ご飯に混ぜるのは、その時々で変わる。基本は白ごま、自家製梅干しを刻んだもの、それに梅酢をまぶす。梅酢をまぶすことで弁当を傷ませない。




すっかり嵌ったのである。毎日のように、飽きもせずにいなり飯。





カップ麺といなり飯。しかも油揚被り。食べくらべってことで、許してちょうだい。




袋麺でもいなり飯。




やっぱりカップ麺と。これ、マルタイの博多高菜ラーメン、結構良かった。

明日の弁当。やはり、いなり飯になりそうだ。




すみません山に行ける休みがありません。テント担いで出かける余裕ありません。それでも、近々日帰りでもしてきます。