今年の蕗味噌のこと、来年に備えて書いておく。記憶力がもう駄目なのだ。
安曇野の奥の里山に出掛けて春の雪遊び、帰りがけに蕗の薹をいただいてきた。林道の脇の湧き水の畔に顔を出していた可愛いやつを。
ボウルに開けて枯れ葉や泥を取り除く。そして丁寧に丁寧に水を切る。
フライパンにサラダ油を多めに垂らし、熱しておく。弱火で保温。この状態で、蕗の薹を一気に、あらみじんに刻む。ぼけぼけやってると灰汁が出て真っ黒になる。
ガスを強火に切り替えて、炒める感じで確実に火を通す。この時、最初からザラメと味醂を加える。加熱は手早く済ませたいが、味醂の水気はなるべく飛ばしておきたい。
火が通ったらボウルに移して粗熱を取る。ようするに猪口に冷や酒を汲んで二三杯呷ってる間、放置しておくのだ。
味噌を加える。フライパンの中ではなくて、ボウルで。なぜなら僕は、味噌に火を通したくないからだ。せっかく生きている味噌を使うのだから、このまま麹に仕事をさせよう。味噌を練りながら、指先でこっそり味見する。ほろ苦さが、何も足さなくていいと教えてくれる。
小皿に盛って、いただく。不思議なことに、蕎麦猪口に注いだはずの冷や酒はなぜか、すぐになくなってしまう。おかしいおかしいと首を傾げながら、注いでは呷り注いではあおる。小皿の蕗味噌もすぐになくなる。首を傾げながら、こちらにも盛っては味わい、盛っては味わう。辛口の「大雪渓」がいつの間にか空になってる。そうだ、「そば前酒」が一本隠してあるあることを思い出して、小躍りする。こうして、春が満ちていく。
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