2016年6月24日金曜日

地の果て、空に悶死する


それはおぞましい風景だった。



眼下に広がる、この大地を、何と例えたら良いのだろう。地上から見上げる、おびただしい邪悪なる瞳。地球に穿たれた、無数の虚無の深淵。あるいは、悪魔の腎臓の組織標本。

起伏の少ない陸地に、大小さまざまな河川が蛇行を繰り返し、海へと注いでいる。その蛇行の様子は、原生動物のいやらしい鞭毛(べんもう)の揺らぎのようでもあり、異界に発せられるパルスを写しているようでもある。

ここは北極海に面した、ロシアの北の果て。







その日。
私は、瞑想を始めてしばらくのちに、幽体を身体から引きはがすことに成功した。

ゆっくりと上昇して高空に昇ると、北へと向かった。佐渡を眺め、日本海を飛ぶ。ほぼ同じ高度を保ちながら、北海道、樺太を過ぎて、オホーツク海上空から大陸の空を飛んだ。アルダン高原を過ぎてレナ川水系に入ると、レナ川の本流と共に流れ下って北極圏に向かった。





タイガの大原生林には人間の生活の痕跡はまれで、滑走路を一度見たのみ。長い飛翔の末に、ようやくツンドラ地帯に入った。すると、風景は一変し、大森林は消え、不気味で醜悪なまでの文様が広がっていたのだ。




もう、叫びたくなる。





自分はトライポフォビアであったことを知らされる。突きつけられる、と書いた方が正確かもしれない。




北極海に流れ出す川が、巨大なデルタを形成している。その文様....







もうやめてくれ。




奇妙なタイル状の地形。




私を不安にさせる、配色と文様。




 た  す  け  て  く  れ







以下の画像は、同じ縮尺である。比較用に東京湾を貼付けておく。実際のスケール感、距離感を感じていただければと思う。


我らがメトロ。おっと、チャイさんの屋根が移ってる。





極悪な瞳たち。深淵を見るとき、深淵もまたこちらを見ている。ってニーチェが言ってたが、その通りならば私は嘔吐する。





北極の海に突き出された悪魔か死神の指にしか見えない。





この造形。もうね....






もうだめだ。しぬ。



さあ、あなたも。
お手元のアイフォーンで。アンドロイドで。iMacで。





2 件のコメント:

  1. キモチワルイ2016年6月26日 20:14

    蓮コラを思い出しました。ツライ。

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    1. つぶつぶが怖いのは、人類のDNAに刻まれた保護本能です。
      だって虫の卵のビジュアルじゃないですか。

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