2016年7月18日月曜日

夏空を待ちながら


梅雨の中頃から仕込み始めた梅干しは、ちまちま1キロ2キロと増え続けた。記録を書き込んだノートをめくって数えてみると、なんと、40キロを超えている。昨夕のぞいた店の売り場からは、梅の実が姿を消していたから、もう増えることはない。が、既に、僕ひとりで笊に広げたり干したり取り込んだりできる量じゃない。娘の手を借りて、秋まで掛かってでも干して瓶詰めしていくだけのこと。そう、今年の梅仕事は、ほんとうはたくさんのやり残しがあるのだけれど、あとは干すことに専念すればいい。


梅雨明けの知らせはまだだが、そろそろ干し始めていかないと、時も場所も限られる。仕込みの早かったロットから、少しずつお日様に当ててやろう。





少しずつ、1キロ2キロと塩漬けしていくときには、ジップロックの袋を用いたと、さきに書いた。熟し具合に分けて漬ける場合にはまことに都合がいい。これを干すにあたって、小分けしておく必要のない梅たちは混ぜてしまう。もちろん品種と産地、買い求めた店、これだけは分けておく。書き残して、たとえ50年先にでも判るようにしておく。





7月17日、平成28年の初干し。

本格的な天日干しは梅雨明けを待って。






菜園にしてある訳でもない楢の樹の下に、植えた覚えの無い豆が、いつのまにか育って成っていた。さっと茹で上げ、味付けしてぱくー。




胡瓜も茄子も立派になってきた。こいつらは、塩揉みしてから軽く絞り、カットして梅酢に浸す。そこへ、昨年の庭の茗荷の梅酢漬け、新生姜の梅酢漬け、そして紫蘇の実の醤油漬けを散らす。即席の柴漬けだがこれが美味い。

この即席柴漬けのことを書き足しておこう。
たまたま土用の日の朝食に、小鉢に盛ってみた。紫蘇の実と茗荷は、去年の夏に収穫してそれぞれ生醤油、梅酢に漬け込んでおいたもの。すごいことだ。火を通さない素材が一年後に食べられるなんて。旬の夏野菜の味わいに、暦を一回りした去年の彩り。いまを愉しみながら、古いものが活きている。







時は、追いかけることも急がせることも出来ない。日々、梅や土や、風と向き合って暮らしているうちに、いつしか移ろい、満ちる。




2 件のコメント:

  1. 師匠の梅仕事を見るともう一年経っちゃったんだ早いなぁ。
    特別違うことをやることも少なくなり大体ルーティーンみたいに一年動いているけど、もうそれが丁度いいなぁと思います。

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    1. さかしたさん遅くなり申した。
      ほんま、いつの間にかの季節の一巡りですわな。
      おいらも、「来年は、もっと美味しく漬けて干そう」とか
      未チャレンジのあれこれ、工夫はしてみたいのです。
      ですがいつも同じように漬けて干してるんです。
      酒飲みながら地元の友とそんな話してたら
      「おめ、いつも同じ山に行くじゃん、常念か穂高じゃん」って言われました。
      いつも市内の山なんです。「その向こう」が気にはなりながら
      いつも縄張りの中だけをうろついてるんですね。
      僕もそれがちょうど良く感じてる証拠なんでしょう。

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